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2013年12月 6日

金属の問題を知る前に

金属は歯科治療では必要欠かさざる材料です。無闇に弊害を煽るつもりはありません。ただ、一部の方にははっきりと害があるのも事実です。ここには、当院でできない分野(パッチテストなど)も記載しています。医学的に詳細に調べたい場合は大学病院などをお勧めします。

アレルギーとは

アレルギー(独Allergie)とは、外来の異物(抗原)を排除するために働くべき免疫反応が、特定の抗原に対して過剰に起こることを言います。I型からV型まであり、I型はよく知られる花粉症や食物アレルギー、蕁麻疹、気管支喘息、アトピー、アナフィラキシーなどが含まれます。

金属アレルギーはIV型で発症まで1~2日かかり遅延型、細胞性免疫型アレルギーです。アレルギーはタンパク質に対して起きるもので、金属そのものには起きません。金属イオンにより変性した身体のタンパクが抗原になります。身体に必要なミネラルである金属でもアレルギーになることがあります。

金属アレルギーによるかもしれない疾患の種類

接触皮膚炎、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、湿疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、皮膚掻痒症、舌炎、口内炎、口唇炎、クインケ浮腫、口腔扁平苔癬など

金属アレルギーの人の割合

大学口腔金属アレルギー外来受診者の50%が金属に感作(敏感な状態になること)していたそうです。(※但し歯科で使われる金属以外も含める)

13の大学病院の調査では全く症状のない人も含めて10%の人に感作が認められたという報告もあります。感作されていても症状が出るとは限りません。また、あるとき感作されていなくてもいつ感作されるかは分かりません。

金属アレルギーの感作率は上昇しています

ピアスの流行で金属の感作率が近年上昇しているとされています。昔の予防接種の際に水銀系の消毒剤使用により水銀の感作率が20%ほどあるというデータもあります(昭和59年東京都)。子どもでは砂遊びで金属アレルギーの例もあります。

金属アレルギーの原因金属

歯科で使われる金属は概ね20種類以上あります。アマルガムの水銀での感作はやや多いようです。金、プラチナ、チタンはアレルギーになりにくいですがゼロではありません。銅、銀、アルミはアレルギーとしては意外に確率は低いようです。

歯科金属に含まれる元素の種類(非金属含む)
金、銀、銅、パラジウム、亜鉛、錫、インジウム、コバルト、クロム、マンガン、ニッケル、チタン、白金、モリブデン、ニオブ、アルミニウム、カルシウム、鉄、ガリウム、ゲルマニウム、水銀、イリジウム、レニウム、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、タンタル、タリウム、バナジウム、タングステン、、セリウム、ケイ素、炭素
※微量のものも含む

元素としては歯科用セメントやセラミックスにもアルミニウムや鉄が入っています。これらは強固な化合物として入っているので金属が含まれていると見なさなくても良いと考えます。

口の中だけではない原因金属
ネックレス、指輪、ピアス、イヤリング、ブレスレット、時計、眼鏡フレーム、硬貨、ベルト、プラジャーのワイヤー・留め具、バックル、ボタン、ビューラー、ヘアピン、カーラー、ホック、ファスナー、鍋・やかん、フォーク・スプーン・ナイフ、缶飲料、工具、文房具・筆記用具、皮革製品、化粧品、化粧品容器、食器の模様、浄水器、土壌、セメント(コンクリートの)、洗剤、入れ墨、インク、写真現像液、ブリーチ剤、シェービングクリーム、防錆剤、塗料、顔料、口紅、クレヨン、粘土、楽器など

アレルギーになりやすい生活条件とは

短時間睡眠、口呼吸、冷飲食過多、早すぎる離乳などは免疫力を低下させアレルギーになりやすいと言えます。

アレルギーではない金属の悪影響

ガルバニー電流
イオン化傾向の差により、異種金属の間に微量の電流が流れることがあります。敏感な人はアルミを噛んだ感じがするなどと言われることもあります。

電磁波の影響
現代の電波だらけの環境では、金属は電気を集める可能性があります。チタンは生体に親和性が高いですが、電磁波についてはむしろアンテナになりやすい性質を持ちます。まだ不明な点が多く一概に言えませんが、経験則から電磁波の影響を疑う例もあります。起立した状態で後方などから携帯電話を近づけると、本人が無意識に身体を傾ける現象が起きることがあります(藤井による)。このような方は影響を受けやすいと言えます。

金属アレルギーの検査方法※(当院では出来ません)

パッチテスト
背中などに48時間貼付して金属感作を調べます。入浴できないので夏は不向きです。遅れて現れることもあるので除去後さらに1週間観察した方がよいそうです。疑わしい場合は繰り返し行います。
パッチテスト用の金属は微量です感作されにくいはずですが、テスト用の金属で感作されてしまうこともあるそうです。

歯科用金属溶出傾向測定装置(モリタDMAメーター)
口腔内で溶け出している可能性のある修復物を調べます。スクリーニングに使えます。

X線マイクロアナライザー
詰めてある金属をほんの僅かに削って分析をかけます。使用してある金属の種類が分かります。

金属アレルギーへの対策は金属の除去

パッチテストの結果アレルギー有りとの判定が出た金属が口腔内に見られた場合、その金属を除去します。たくさん金属があっても1つの冠だけが原因ということもあります。口腔内に無い場合は身の回りの金属を考えます。

修復物が少量の場合は、検査を省いて除去してみる手もあります(当院では全部除去しています)。表面の金属だけでなく、土台の金属も必要なら除去します。隠れていても溶出することはあるからです。根管充填剤などの金属で無い材料でも、金属が含まれている場合は除去する必要があります。

外したら半年ほどは仮歯で様子見をしたほうが良いこともあります。小さい詰め物の場合は、仮歯でなくすぐ最終的な硬質レジンで修復してしまうこともできます。仮歯のレジンや修復物の硬質レジンにもアレルギーがないことが必要です。

金属除去後の治療方法とは

・アマルガム、インレー → 硬質レジンの充填やインレー、ハイブリッドインレー、セラミックインレー
・メタルコア → レジンコア、ファイバーポストレジンコア、ハイブリッドコア
・クラウン → 硬質レジンジャケット冠、ハイブリッドジャケット冠、オールセラミックス冠、ジルコニア冠
・ブリッジ → グラスファイバー強化ハイブリッド(力が余り掛からない場合)、ジルコニア
・チタン系インプラント → ジルコニアのインプラントか金属のない可撤性義歯(入れ歯)
・可撤性義歯(入れ歯)の鈎やバー → アセタル樹脂の留め具やノンクラスプデンチャー

装置ごとの治療費用はこちら

代替物に変更するときの問題

金属の除去が終わり、代替物での修復を行うときにも様々な注意点があります。以下の項目を留意して、安全に治療を進める必要があります。

一般治療の場合の問題点
・レジンで代替できる場合以外は、保険外診療になってしまうことが多々有ります。
・大きなインレーは削り広げて冠にしないといけない場合があります。
・歯と歯の間に金属があった場合、レジンやハイブリッドにすると強度的な問題で、敢えて削り広げる場合があります。
・大きく深くメタルコアが入っている場合、撤去によって歯質が薄く弱くなり抜歯に至ることがあります。
・レジンにもアレルギーがあるとセラミックかジルコニアしか選択肢がありません。
・レジンセメントにもアレルギーがあるとレジンセメントが必要なセラミック系は使用できません。
・レジン、ハイブリッド、セラミック(形態によっては)は強度的に金属より弱くなります。
・亜鉛にアレルギーがあると根管治療もやり直す必要があります。

インプラントの場合の問題点
・インプラント体にアレルギーがあると、インプラントの撤去はとても難しく、病院の口腔外科でないと出来ないかも知れませんし、周りの歯槽骨を大きく失うことがあります。

矯正治療の場合の問題点
・ワイヤーはニッケルチタンが多く使われており、ニッケルだけのアレルギーであればステンレススチールのワイヤーを曲げて使うことはできます。
・ステンレススチールはクロムが入っています。クロムにアレルギーがあると使えません。
・ニッケルにアレルギーがあるとクロムにもアレルギーが起きてしまうともあります。
・使用材料にはいろいろ細かいものもり、アレルギーの心配なく矯正をするのは困難になってきます。
・QCMという矯正システムの場合金属なしでできますが、採用している歯科医院は非常に少ないでしょう。
・マウスピース型の矯正の場合金属なしでできますが、出来る範囲に一定の制限があります。
・歯列矯正は2~3年のことなので、アレルギーが軽度であれば、その期間のみ我慢することもできるかと思います。

以下の方も、一度ご相談ください

金属アレルギーという言葉に過敏になっている人
情報過多から、金属を全部撤去したいと言われる方が時々あります。金属が少なければそれほど困難ではありません。本来、限られた金属に対してだけアレルギーがあるとすれば、本来全部除去する必要はありません。金属が多い場合は、望む結果が得られると限らないことを踏まえて考える必要があります。

金属アレルギーではないが化学物質過敏症
アレルギーではないが、除去後の症状改善の経験則から、この疑いもあります。

歯科金属に敏感なのに周囲の金属に鈍感な方
金属アレルギーが心配と言いながら、指輪など装飾品に無頓着な方もおられます。口の中だけ悪者にせず理性的な判断を求めます。

実は身体のどこかの慢性病変から来ている可能性
口腔周囲では、根尖病巣、慢性の歯周病、扁桃炎、慢性鼻炎などが挙げられます。慢性病巣があると離れた場所にアレルギーのような皮膚炎が起きることがあります。口の中では、根管治療や抜歯により、離れた場所の皮膚炎が消失することもあります(病巣感染)。

皮膚科などから歯科の材料のサンプル提供を依頼された場合
皮膚科医は歯科のことが分からないので、口の中に使用する材料の提供を単純に患者さんに指示されることがあるかもしれません。

口の中に使用するとしても、滞在しないもの(印象材、エッチング液など)は継続して出ている症状の原因ではないと考えられます(使用後数時間~数日して消退はありうる)。また、原材料を渡す必要はありません。硬化して口の中に滞在するものは、硬化させてサンプルとすれば良いです。

O(オー)リングテストで調べてほしい
単純に持って指が開いたから合わないという判断は間違いの元です。共鳴を排除しなければならないし、他の要因(先入観など)に影響されることもあります。繊細な条件の下で行う必要があります。的確なOリングで合わないと出た場合にも、それがアレルギーとは限りません。Oリングで合う材料にすれば気になる症状が治るとは限りません。Oリングは有効な方法だと思いますが、誤認もあるので慎重な取り扱いが必要です。他のキネシオロジーでも同じです。


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