6歳臼歯とシーラントQ&A(Answer)
6歳臼歯とは
奥歯で最初に生える永久歯で正式には第一大臼歯と言います。前から数えて6番目 の歯になります。6歳臼歯は乳歯と生え替わるのではなく乳歯の奥に追加して生えて来ます。5歳から7歳の間にほぼ生えて来ます。
6歳臼歯の重要性について
子供から見ると遙か先のことですが、80歳で20本歯が残っている高齢者の方々 は6歳臼歯が残っていることが多いことが統計で分かり、6歳臼歯を残すことが後々ま で多くの歯を残す鍵となるのです。
6歳臼歯の弱さについて
生えて間もない歯の表面はまだ成熟しておらず、むし歯菌に冒されやすい構造になっ ています。歯の表面のエナメル質の結晶構造が粗いのです。歯は萌出しながら唾液に含 まれるカルシウムが表面から沈着して緻密になり成熟してきます。
また、部分的に歯茎に被われている期間が長くあり、歯磨きしにくかったり歯垢が沈 着しやすかったりでむし歯になりやすい環境になっています。
6歳臼歯の歯磨き
2~3歳から5~7歳までずっと同じ大きさの歯型だったものが、6歳臼歯が生えてきて急に奥行きが長くなります。同じように歯磨きしていると大事な6歳臼歯の歯磨きを忘れてしまいます。本人もお母さんも良く眺めて確認して磨く必要があります。
とくに生えかけは乳歯の噛む面より背が低く歯ブラシが届きにくいこともあるので注意が要ります。
歯茎が被っているところは少しでも毛先が奥に入り込むようにくふうして磨くようにして下さい。
また、6歳臼歯は直前の乳歯より溝が多く表面の形が複雑です。手前の乳歯より何倍 も長く磨くくらいでちょうど良いです。
シーラントとは
生えて間もないむし歯になりやすい期間、樹脂などの材料で歯の溝を被い、むし歯から 歯を守ろうとする方法です。歯の表面をきれいにし、歯は全く削らずに接着剤を塗布し てシーラント材で歯の溝を塞いで固めます。
シーラントの材質について
以前は樹脂系ばかりでしたが、最近はセメント系や両者の混合のものがよく使われ ます。また、フッ素が配合されシーラント材から接している歯質にフッ素が取り込まれ るように考えられています。
シーラントの効果について
1年で50%ほどむし歯が減ると言われています。ただ、歯磨きや食生活など比較的 良く管理された中でのことです。歯磨きが不要と言うことではありません。
ずっと付いているものなのですか?
歯を削らずに貼り付けるだけなので、だんだん脱落していきます。概ね1年くっつ いていればひとまず目的は達成されたと考えても良いと思います。6歳臼歯の弱い時期 に歯質を守ることが目的なので、ずっと留まっている必要はありません。
ただし、比較的早期に脱落してしまうこともあり得ますので、時々歯科医院で確認し てもらった方がよいです。1年未満なら再度処置してもらいましょう。仮に1年以上経 って脱落してももう一回くらいは処置しても良いと思います。
取れたシーラントを飲み込んでしまっても大丈夫ですか?
消化されず下から出てきます。
6歳臼歯にだけするのですか?
その後生える永久歯にも同じようにシーラントをすることが出来ます。
乳歯にもして良いですか?
乳歯にもシーラントは出来ます。
ただし、乳歯にはやや付きが悪く、また乳歯は良くすり減るので永久歯より脱落しや すいと思われます。また、乳歯が生えて間もないときは、幼少なのでシーラント処置の 間きちんと口を開いていてくれないことも多いです。十分時間をかけないと脱落しやす くなります。上手くできない子供さんの場合はフッ素塗布だけにした方がよいでしょう。
シーラント材料から環境ホルモンが溶け出ると言われたことがかつてありましたが?
シーラントに限らず、樹脂系の詰め物から溶け出ると言われましたが、当初取り上げられた実験は問題があると言うことで否定されています。また、その後の追試では溶けでないとされました。
しかしその後分析機械の向上で逆に、実験の方法によっては非常に微量だが溶け出さ せることが出来ることが分かってきました。
現在は通常の使用方法では全く問題はない、というところに落ち着いています。
フッ素とシーラントとどちらが良いですか?
シーラントは溝を塞ぐだけです。フッ素は歯面全体に作用させられます。よって 両方行った方がより効果は上がると思います。
シーラントは健康保険で出来ますか?
学校健診のCO(シー・オー)すなわちむし歯のなりかけ…については健康保険が 利きます。全くむし歯でない歯には原則としては保険は利きません。健康保険は「病気」 に対して給付されるものだからです。
むし歯でもシーラントは出来ますか?
むし歯になってしまった場合は削って詰めないといけません。